交通事故に巻き込まれた際に、受けるショックはとても大きく、精神的に不安定になり、PTSDを発症してしまう可能性があります。
この記事では、PTSDとは何か、事故でPTSDになった場合、加害者側に慰謝料を請求できるのか。について解説します。
PTSDとは
PTSDとは外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder)の略語です。
生死にかかわるような実際の危険にあったり、死傷の現場を目撃したりするなどの体験によって強い恐怖を感じ、それが記憶に残ってこころの傷となり、その恐怖体験が何度も思い出されて、当時と同じような恐怖を感じ続けるという病気です。
恐ろしい体験の後は、誰でも同じ様に、その恐怖した事を思い出したり、感じたりしますが、時間が経つにつれて記憶が整理されて、恐怖が薄れ、怖かった体験が過去のものとして認識し、日常生活に戻ります。
しかし、PTSDでは、トラウマの記憶が1カ月以上にわたって想起され続け、生活面でも重大な影響を引き起こしていることが特徴です。
PTSDになった場合に慰謝料請求は可能か
慰謝料には、障害慰謝料と、後遺障害慰謝料という2種類があり、PTSDは後遺障害慰謝料を請求する事ができます。
PTSDの後遺障害等級を認めてもらい、後遺障害診断書を出してもらえれば、後遺障害慰謝料として、慰謝料の請求が可能です。
PTSDと認められ、後遺障害診断書を出してもらうには、
- 抑うつ状態
- 不安の状態
- 意欲低下の状態
- 慢性化した幻覚、妄想性の状態
- 記憶または知的能力の障害
- 衝動性の障害,不定愁訴などのその他の障害
の精神症状のうちどれか一つ以上の発症が認められていて、さらに
- 新編日常生活
- 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
- 通勤・勤務時間の遵守
- 普通に作業を持続すること
- 他人との意思伝達
- 対人関係・協調性
- 身辺の安全保持、危機の回避
- 困難・失敗への対応
等の、能力に関する判断項目のうち、ひとつ以上の能力の欠如や低下などの障害が認められた場合、後遺障害等級認定がされます。
非器質性精神障害の後遺障害等級は、その精神障害の程度に応じて、第9級、第12級、第14級の3段階に区分されています。
精神科医の治療を受けたこと、それによって回復しない精神症状が認められること、交通事故により発症したといえること、発症した精神障害による損害の程度などを、立証していくことが必要となります。
しかし、PTSDは、精神上の後遺障害であるため、被害者の症状・状態を客観的に立証する事が難しく、PTSDの有無自体が被害者と加害者との間で争われることもあります。
治療費は保険会社からでるのか
交通事故による外傷だと認められた場合、保険会社への治療費の請求は可能で、症状の完治までの治療費を請求できます。
状態固定となった場合、状態固定になる前までの治療費を請求ができます。
状態固定になった場合は、後遺障害等級を認定してもらい、後遺障害について慰謝料・逸失利益を支払ってもらい、通院を続けるという方法もとれます。
まとめ
PTSDが発症したと思われる場合には、早めに精神科医の診察を受けましょう。後遺障害に詳しい弁護士などの専門家を頼る事も、スムーズな慰謝料請求には有効です。